2008 Fiscal Year Annual Research Report
ムギネ酸によるイネ科植物の3価鉄イオン取り込みの分子機構
Project/Area Number |
18510200
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Research Institution | Suntory Institute for Bioorganic Research |
Principal Investigator |
村田 佳子 Suntory Institute for Bioorganic Research, 研究員 (60256047)
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Keywords | タンパク質 / ムギネ酸 / 遺伝子 / 鉄錯体 / イネ科植物 / 土壌学 |
Research Abstract |
イネ科植物は生合成したムギネ酸類を根から分泌し、土壌中にある難溶性の鉄を可溶性の錯体として再吸収することにより、鉄イオンを効率的に取り込んでいる。オオムギはムギネ酸類・3価鉄錯体の特異的なトランスポーターであるHvYS1を持ち、トウモロコシは広範な基質を輸送するトランスポーターであるZmYS1を持つ。これらタンパク質の基質特異性を担うのは相同性の低い6番目と7番目の膜外ループであるとの仮説のもと、AGADIRプログラムで解析するとHvYS1のみがこの膜外ループの20アミノ酸がαヘリックス構造をとることが判明し、さらにそのCD測定結果を前年度に報告した。今年度は、ループ内の約40アミノ酸からなるペプチドを化学合成してCDスペクトルを測定し、HvYS1のみαヘリックス構造を17%とることを確認した。一方、このループ部分を入れ替えたキメラ体を作成し、アフリカツメガエル卵母細胞に発現させ電気生理実験を行った。その結果、N末やC末端に関係なく膜外ループが基質特異性を担うことが明らかになった。本基盤研究において、ムギネ酸類の効率的な大量合成法を確立し、それに続いてムギネ酸2'-水酸基にプロパルギル基を導入してクリック反応経由でベンゾフェノン、クマリン、トリアゾールなどの標識体を作成した。これらの研究成果をもとにさらにムギネ酸類鉄錯体輸送メカニズムの解明に発展させたい。 オオムギとトウモロコシ以外のYSLファミリーについては様々な金属錯体を輸送することが報告されている。これらのアミノ酸配列においても注目している膜外ループの相同性が低く、αヘリックス度はオオムギに比べてかなり低い。土壌や目的に応じたトランスポーターを導入できれば、食糧や環境問題に利用できると期待している。
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Research Products
(13 results)