2008 Fiscal Year Annual Research Report
変貌するインドネシアの政治暴力:選挙・開発・紛争地にみる民主化のジレンマ
Project/Area Number |
18510225
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
本名 純 Ritsumeikan University, 国際関係学部, 准教授 (10330010)
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Keywords | インドネシア / 政治暴力 / 民主化 / 犯罪 / 安全保障 / 紛争 |
Research Abstract |
今年度の研究・調査の結果、査読付き国際誌に3本の論文を掲載することができた。その成果についての具体的内容・意義・重要性は以下の通りである。 1. "The Peace Dividend," Inside Indonesiaでは、アチェ和平の推進によって、暴力装置としての国軍にどのような変化が表れているかを議論したものであり、特に、国家安定の名の下に政治関与を長年続けてきた軍の正当性の基盤がなくなることで、今後の文民政治家にとては政軍関係改革を進める絶好の機会になっていることを主張した。政治的民主化、ポスト紛争、そして国家暴力の関係を分析した点に意義・重要性があると考える。 2. "Current Data on the Indonesian Military Elite," Indonesiaでは、過去2年間における、インドネシア国軍の人事異動のミクロ分析を行い、そこから見えてくる特定将校の昇進の早さや世代交代の停滞について議論を提示した。士官学校での成績が重要な昇進ファクターになっている実態を解明し、その原因が、国家安定による紛争地経験の低下にある点をアピールできたことに意義があった。 3. "Instrumentalizing Pressures, Reinventing Mission," Indonesiaでは、民主化によって役割削減を迫られる海軍の政治的駆け引きを分析した。海軍は、海の軍事脅威ではなく海洋犯罪という「海の暴力」が拡大していることに着目し、これへの対応を海軍の役割にすることで、様々な権限と政治的発言力の維持を図っている実態を分析した。脅威はいかに作られるか、という問題を解明することに意義と重要性があった。
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Research Products
(14 results)