2006 Fiscal Year Annual Research Report
思考の新しいフェーズとしてのシミュレーションの哲学的考察
Project/Area Number |
18520010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
出口 康夫 京都大学, 文学研究科, 助教授 (20314073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 千草 関西大学, 総合情報学部, 助教授 (10362419)
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Keywords | シミュレーション / カオス / 科学技術社会論 / 数値計算法 / フォン・ゼーグナー |
Research Abstract |
科学におけるシミュレーションの実態を把握するため、シミュレーションを用いた科学研究のいくつかの古典的な事例に関する調査、研究を行った。特に、カオス研究の先駆的事例の一つとされる、E.ローレンツの乱流研究を集中的に取り上げ、ローレンツの原論文や著書を読解するとともに、当時の関連する文献を調査することで、ローレンツのカオス研究のコンテキストを明らかにすることを試みた。またローレンツがシュミレーションに利用したコンピューター環境をも調べた。一方、シミュレーションの哲学的・歴史的分析の理論的枠組みを探るため、現代の科学技術社会論の様々な理論を調査した。具体的には、Sergio Sismondo著、An Introduction to Science and Technology Studies,2004を共同で読み進めることで、同書で紹介されている現代科学論の様々な理論モデルを批判的に検討した。また研究代表者は、オーストラリアにおける初期のシミュレーション研究をも調査し、同国におけるデジタル・コンピューターの導入の経緯と、コンピューターが作曲など科学以外の領域においても早くから多様な仕方で用いられていることを確認した。さらに研究代表者は、シミュレーションで用いられる数値計算法の近代初期における起源を確認する目的で、18世紀数学の調査を行った。ここでは、18世紀ドイツの数学者、フォン・ゼーグナーの算術に関する著作の調査を行い、18世紀の自然数論において計算論と数値計算法が大きなウェイトを占めていることを確認した。
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Research Products
(4 results)