2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤岡 穣 大阪大学, 文学研究科, 助教授 (70314341)
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Keywords | 仏教美術 / 絵画 / 彫刻 |
Research Abstract |
本研究は、日本の仏教美術における絵画と彫刻(厳密には雕塑)の相関性を明らかにし、そのうえで絵画と彫刻を統合した、いわばメディアの相違を超えた新たな仏教美術史を構築することを目的としている。日本における美術史研究は、明治時代以来、絵画・彫刻・書蹟・工芸といった分野別の研究が主流をなしてきた。しかしながら、仏教美術は、絵画も彫刻も典拠とされたテキストや図像に共通性があり、かつ絵画と彫刻が同じ空間において機能を果たした事例も少なくない。本研究はそうした認識から、絵画や彫刻といった分野を超えた統合的な仏教美術史の構築を目指している。ただし、絵画作例がほとんど遺存しない飛鳥時代から平安時代前期について、絵画と彫刻との相関性を実証的に検証することは困難である。そこで、本研究では、対象とする時代を平安時代後期から鎌倉時代に限定している。 こうした研究目的のもと、3ヶ年の研究期間の初年度の研究として、本年は以下のように研究を進めた。まず、6月に大学院生をまじえた「仏教美術における絵画と彫刻」研究会を発足させ、研究目的の共有と研究計画の立案をはかった。9月には各自の研究テーマ(阿弥陀の来迎表現、肖像と羅漢、荘厳具、高山寺をめぐる美術など)を決定し、その後関係資料の収集に着手した。また、昨秋は多くの仏教美術関係の展覧会が開催され、集中的に作品に接する機会に恵まれたため、その見学や調査を通じて絵画、彫刻、工芸といった各自が専門とするジャンル以外の作品を視野に入れることの重要性、有効性を確認した。
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