2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤岡 穣 Osaka University, 文学研究科, 准教授 (70314341)
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Keywords | 仏教美術 / 絵画 / 彫刻 |
Research Abstract |
本研究は、日本の仏教美術における絵画と彫刻(厳密には雕塑)の相関性を明らかにし、そのうえで絵画と彫刻を統合した、いわばメディアの相違を超えた新たな仏教美術史を構築することを目的としている。日本における美術史研究は、明治時代以来、絵画・彫刻・書蹟・工芸といった分野別の研究が主流をなしてきた。しかしながら、仏教美術は、絵画も彫刻も典拠とされたテキストや図像に共通性があり、かつ絵画と彫刻が同じ空間において機能を果たした事例も少なくない。本研究はそうした認識から、絵画や彫刻といった分野を超えた統合的な仏教美術史の構築を目指している。ただし、絵画作例がほとんど遺存しない飛鳥時代から平安時代前期について、絵画と彫刻との相関性を実証的に検証することは困難である。そこで、本研究では、対象とする時代を平安時代後期から鎌倉時代に限定している。 3ヶ年の研究期間の2年目の研究として、初年度に発足した「仏教美術における絵画と彫刻」研究会、展覧会を中心にした作品の見学・調査を継続し、資料収集とその整理、意見交換をはかった。また、研究代表者は、本研究の経過報告を兼ねて、「呉越〜宋彫刻と平安〜鎌倉彫刻」「仏師のダイナミズム-密教図像から彫像へ-」の研究発表を行った。 本研究は、考察の対象を平安時代後期から鎌倉時代の仏教絵画と彫刻としているが、本年、研究を進める中で、その考察のためには中国の作例や仏教信仰にも視野を広げる必要性を共有するにいたった。中国での現地調査は難しいが、来年度は中国関係の資料収集に努める計画である。
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