2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤岡 穣 Osaka University, 文学研究科, 准教授 (70314341)
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Keywords | 仏教美術 / 絵画 / 彫刻 / 図像 / 十二神将 / 持幡童子 / 毘盧舎那如来 / 笵道生 |
Research Abstract |
日本美術史研究は、明治時代以来、絵画・彫刻・書蹟・工芸といった分野別の研究が主流をなしてきた。しかし、仏教美術に関して言えば、絵画も彫刻も典拠とされたテキストや図像に共通性があり、かつ絵画と彫刻が同じ空間において機能を果たしていた事例も少なくなく、それゆえ日本美術史研究における彫刻と絵画との乖離は大きな障害ともなってきた。本研究は、そうした問題意識に基づき、主として日本の仏教美術を対象として、絵画と彫刻(厳密には離塑)、あるいは工芸も含めた相異なるメディアの相関性に改めて着目し、美術史学という立場から積極的にメディアの相違を乗り越えていくことをめざしたものである。具体的には、研究代表者が所属する研究室において問題意識を共有し、各人が絵画、彫刻といった分野別の意識を極力捨て、総合的に作品を見ることをこころがけ、実施した共同調査において、また様々な議論の場においてそうした意識の共有を図ってきた。 共同調査は、日本国内のほか、中国浙江省、新疆においても実施し、その結果、当初目論んでいた日本の平安、鎌倉時代の仏教美術にとどまらず、中国のそれをも視野に入れた幅広い研究を推進できた。研究代表者のほか大学院生5人の研究成果は、最終的に刊行する報告書(論文集)に集約される。それぞれの論文のテーマは以下のとおりである。「仏師のダイナミズム-密教図像から彫像へ-」「鎌倉時代前期の十二神将造像と図像」「冥府からの使者-持幡童子の源流をめぐって-」「東アジアにおける説法印毘盧舎那如来をめぐって」「福聚寺所蔵達磨・韋駄天・華光菩薩画像について-笵道生の絵画と彫刻-」「法隆寺献納宝物「刺繍残片」の基礎的考察」である。
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