2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520091
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
宮崎 まゆみ University of Miyazaki, 教育文化学部, 教授 (60142543)
|
Keywords | 雅楽(ががく) / 宮廷箏曲(きゅうていそうきょく) / 箏(こと) / 箏曲(そうきょく) / 宮廷音楽(きゅうていおんがく) |
Research Abstract |
前年度に引き続き、関係する楽譜の写本を網羅的に収集した。新資料は以下の通りである。(すべて宮内庁書陵部蔵 伏見宮旧蔵) 【楽譜】『仁智要録』『秦箏要録』『諸調子品撥合譜』1183〜1190年、『諸調子品撥合譜』1257年写、『調子品譜』鎌倉写、『撥合調子譜 箏』1300年写、『撥合調子譜 箏』1316年写、『賀殿百拍子以下秘説譜』1460年写、『五箇秘調』『呂律柱 箏』室町写 現存最古の箏譜『仁智要録』(1192年以前)に記載されている、調絃、糸合せをはじめ、独奏曲の『撥合』および『調子』類の解読作業に入った。調絃方法の分析により、平安時代に、完全五度、完全四度、オクターブ等の概念が存在しており、できるだけ完全五度を優先させて音を合せ、完全五度ができない箇所は完全四度、それもできない箇所は長三度で、音を取っていたことが判明した。また、糸合せ、『撥合』『調子』の解読から、従来詳細が不明だった奏法について、いくつか判明した。例えば、「連」は、現行雅楽の箏の奏法の「連」とは異なり、人さし指と中指とで同時に奏者の手前方向に弾く奏法で、筑紫箏曲の「颯」に類する奏法だったのではないか、また、現行箏曲では存在しない左指による「推入」「推放」「取」「由」の奏法等が頻繁に使用されていること等である。なお、「かかげ合せ」という名称の奏法については、従来は現行箏曲の「閑掻」「早掻」の「掻手」だと言われてきたが、そうではない可能性も考えられ、課題となっている。課題となっている奏法以外についしては解読できたので、『撥合』および『調子』の各曲を、現代の箏譜に訳譜して復元している。現行雅楽の箏からは想像もできないような優雅な箏曲が甦りつつある。
|
Research Products
(1 results)