2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
曽根 誠一 花園大学, 文学部, 教授 (20187892)
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Keywords | 小沢蘆庵 / 写本家集 / 百家集 / 伝本調査 / 入江昌喜 |
Research Abstract |
先ず、研究の基盤となる小沢蘆庵手沢の紅梅文庫旧蔵62家集の内、今治市河野美術館蔵47家集中の36家集について、コピーを国文学研究資料館で入手した。8月下旬に今治を訪ね、朱・青筆等による書き入れの確認を行い、19家集について作業を完了した。また、残る14家集を所蔵する東海大学図書館を訪問し、7家集について、本文を書写した(写真撮影不許可のため)。 また、この関連で、国文学研究資料館蔵本と龍谷大学写字台文庫本を調査するとともに、甲賀市立水口図書館蔵本21冊中の11冊について、マイクロ撮影を行い、紙焼き写真を入手した。 これらの調査の結果、蘆庵「写本家集」の伝本は、仮名遣いの訂正書き入れや本文のミセケチ、集付や上欄注、行間の広狭まで、全て原本の通りに書写してある「臨模本」の系統と、明かな誤りについては、正しい本文に改めて書写してある「校訂本」の系統の2種類があることが判明した。 また、手沢本の「基礎データ」については、山田法師・頼実・在良・成仲・大納言典侍・兼行・元良親王・師氏の8家集について、調査を完了した。最初の6家集については、蘆庵手沢本と新日吉神宮本との関連を、龍谷大学本や水口図書館本等をも加えて、解明した(19年度中に論文化の予定)。 加えて、蘆庵「写本家集」と入江昌喜所蔵本との関連では、『散木棄歌集』を調査し、昌喜旧蔵本(勝海舟旧蔵本)と国文学研究資料館蔵蘆庵本の本文の比較検討から、昌喜旧蔵本をもとにして資料館本が書写されていることが判明した。また、関西大学図書館本と水口図書館本の調査から、蘆庵本の2種類の奥書は、資料館本が最初に書写されたものであり、関西大学・水口図書館本は、更に蘆庵によって校訂の手が加えられたものと考えられることが判明した(19年度中に論文化の予定)。
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