2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520144
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
曽根 誠一 Hanazono University, 文学部, 教授 (20187892)
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Keywords | 小沢蘆庵 / 写本家集 / 百家集 / 伝本調査 / 入江昌喜 |
Research Abstract |
先ず、研究の基盤となる小沢蘆庵手沢の紅梅文庫旧蔵62家集の内、今治市河野美術館蔵47家集中の残り11家集について、国文学研究資料館でコピーを入手した。その上で、当該美術館を訪問し、朱・青筆等による書き入れの確認を行い、17家集について作業を完了した。また、14家集を所蔵する東海大学附属中央図書館を訪問し、残る7家集中の6家集について、本文を書写した(写真撮影不可のため)。また、国文学資料館蔵本と京都大学大学院蔵本を調査するとともに、甲賀市立水口図書館蔵21冊の残り10冊について、マイクロ撮影を行い、紙焼き写真を入手した。 これらの調査をもとにして、「写本家集」の基礎データとしては、現存伝本間の親疎を把握するのに有益なものを優先して、千里・相如・伊勢大輔・小馬命婦・道成・広言・忠度・二条院讃岐の8家集について、調査を基本的に完了した(一部伝本について、朱墨等の区別が未確認)。 以上の調査結果と前年度のそれとから、新日吉神社蔵芦庵文庫6家集は、庵自筆奥書本とは認めがたいものの、本文的には最も誤写が少ない善本であり、これに次ぐのが臨模本である紅梅文庫旧蔵本(河野美術館本と東海大学本)であり、更に、龍谷大学写字台文庫本・京都大学本が位置付けられること。また、校訂本である水口図書館本は、本文的には最も遠い関係となることが判明した。 また、蘆庵「写本家集」と入江昌喜所蔵本との関連では、昌喜旧蔵本『忠度集』『二条院讃岐集』の2家集が関西大学図書館岩崎美隆文庫に所蔵されていることを知り、調査した。その結果、『忠度集』については、蘆庵本とかなりの異同が見られ、昌喜本が全て蘆庵本の親本となったのではないことが判明した。尚、蘆庵本『散木棄歌集』に2種類の奥書がみられるのは、国文学資料館本が最初の伝本であり、関西大学本や架蔵本はその誤りを校訂したものであることを、論文として執筆した。
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Research Products
(3 results)