2006 Fiscal Year Annual Research Report
英米文学におけるテクノロジーとメディアの表象に関する研究
Project/Area Number |
18520175
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 文代 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20139497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 兆史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (80162246)
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Keywords | 英米文学 / メディア / テクノロジー |
Research Abstract |
初年度の18年度は当初の予定通り、資料収集を優先した。研究代表者(林)は主として米文学関係、研究分担者(斎藤)は主として英文学関係の資料を収集した。また、研究代表者(林)は平成18年10月にアメリカ合衆国のSoutheast Mssouri State Universityにおいて開催された国際シンポジウム(Faulkner and Twain Conference)に参加し、研究成果の発表を行うと同時に研究者と意見交換をすることができた。 研究代表者(林)にとって、このシンポジウムは一見テクノロジーやメディアなどと無縁に見えるWilliam FaulknerやMark Twainが、如何にそうした問題を重視していたかを検討する機会となった。資料収集は視覚とテクノロジーの観点からBarbara M.Staffordの研究、Susan BlackmoreのThe Meme Maehineなど遺伝子・生理学関係の研究など、多角的に行った。研究分担者(斎藤)は、20世紀初頭にH.G.WellsやE.M.Forsterが機械文明の脅威をテーマとする作品を描いたが、近年の英文学作品にも同じ構図が現われていることに着目し、Kazuo IshiguroのNever Let Me Go(2005)、Nadine GordimerのGet a Life(2005)、Zadie SmithのOn Beauty(2006)などにおいて、如何にこうした問題が扱われているかを検討した。クローン技術という生物学的テクノロジーを扱うNever Let Me Go、生態学を一つのモチーフとするGet a Life、電子メール文ではじまるOn Beautyなど、我々を取り巻く新しいメディアや通信・医療テクノロジーまでがヒューマニズムを脅かすものとして扱われているとの仮設が得られた。今後それがどこまで一般化できるかは、今後の研究で明らかにしていきたい。
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Research Products
(4 results)