2008 Fiscal Year Annual Research Report
英米文学におけるテクノロジーとメディアの表象に関する研究
Project/Area Number |
18520175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 文代 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20139497)
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Keywords | 英米文学 / メディア / テクノロジー |
Research Abstract |
最終年度である20年度は、初年度、2年度同様資料収集に努めると同時に、資料の検討や研究成果の発表などを行った。テクノロジーやメディアと文学の関係についての考察を扱う本研究の対象は多くの分野に及ぶこと、また問題の関連性から関係資料が次々と増えていくことから、最後の段階まで資料収集は重要な作業であり、そのため資料の分析や検討はさらに今後も継続が必要であると思われる。だが、シンポジウムや出版物などを通して研究の一定の成果を社会に公開することができたことにより、最終年度の目標は達成されたと考える。 具体的には、研究代表者(林)はフォークナー協会年次大会シンポジウムで、モダニズムと映画の関係をウィリアム・フォークナーの文学テクストにおけるテクノロジーとメディアの表象のあり方の視点から分析する発表を行った。連携研究者(斎藤)は日本英文学会関東支部4月例会シンポジウムにおいて「英国小説のキャノンと帝国」の視点からディケンズ、ブロンテ、サッカレーなどを論じた。さらに林の編集による書物『英米小説の読み方・楽しみ方』(岩波書店)に収録された論文において、林はメディアと文学の関係、テクノロジー(映画)と文学の関係を論じ、斎藤はメディア変換とテクスト間相互関連性の視点から映画と文学テクスト、翻訳などの問題を論じた。加えて斎藤はトールキンの『指輪物語』のCG技術による映画化、ジョン・ファウルズの『フランス軍中尉の女』の映画化と原作の違い、カズオ・イシグロの『日の名残り』における小説の映画化の限界など、メディア/テクノロジーの進化と文学作品のメディア変換の関係を明らかにした。 本研究の目標は野心的なものであり、未だ完成とは言えないが、今回得られた知見をもとにして今後さらに研究を進め、その成果をまとめて発表したいと考えている。
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Research Products
(5 results)