2007 Fiscal Year Annual Research Report
カナダ先主民文学・アジア系カナダ文学にみられる「グローカル」性の考察
Project/Area Number |
18520241
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
佐藤 アヤ子 Meiji Gakuin University, 教養教育センター, 教授 (70139468)
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Keywords | グローカリズム / Richard Cavell / Marshall McLuhan / グローバルビレッジ / Robert Lepage / Michael Ondaatje / Tim Carlson / Kerri Sakamoto |
Research Abstract |
世界におけるカナダ文学の第一人者であるブリティッシュ・コロンビア大学教授で,カナディアン・スタディーズの科長Richard Cavell氏と昨年に引き続き密に意見交換をしながら,平成19年7月キャベル氏を招聘して,「マクルーハン,グローカリズム・カナダ文学」(McLuhan,Glocalism, and Cnadian Literature)の講演会を開催した。キャベル氏はまず,バンクーバー作家のDouglas Couplandの「グローカル」体験を引用する。しかし,このグローカル現象はインターネット開始よりはるか以前にさかのぼるとキャベル氏は説く。それは,カナダのメディア理論家Marshall McLuhanがすでに1950年初期に「グローバルビレッジ」という言葉で理論化したと述べ,マクルーハンのグローカル体験が今日のカナダ人作家の作品に現れていると例証した。それは,世界的に有名な劇作家で演出家のRobert LepageのThe Far Side of The Moon,作家Michael OndaatjeのThe English Patient,劇作家Tim CarlsonのOmniscienceなどである。キャベル氏の講演は示唆に富み,現在及び今後の私の研究に大いに役立つものとなった。また,バンクーバーとトロントを訪れ,中国系4世作家Larissa Lai,日系3世作家Kerri Sakamotoのインタビューを行った。マイノリティーといわれてきたアジアからの移民の子孫である作家らが,先祖から受け継いだローカル性をこのグローバル化された社会の中でいかに融合させて新たなグローカル性を見出しているかを,昨年Roy Miki教授が語った彼女らの作品に見られる「グローカル」性を引用しながら意見交換を図った。トロントでは,日系人作家の大御所Joy Kogawaとも意見交換を図った。
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Research Products
(1 results)