2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
森 あおい 広島女学院大学, 文学部, 教授 (50299286)
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Keywords | 英米文学 / ジェンダー / 多文化主義 |
Research Abstract |
本研究の目的は、メインストリーム社会から無視され、沈黙を強いられてきた人々の社会・文化表象を、(1)アジアにおけるマイノリティ・ディスコースと表象、(2)カリブとアメリカのポストコロニアリズム、(3)アフリカ系アメリカ人のメディアにおける表象の三点から考察し、単に日本人のアメリカ文学研究者としてアメリカ文学・文化理論を「受容」するばかりでなく、日本人としての視点からアメリカ文学、ことにマイノリティ・ディスコースについて発信できる理論を構築することにある。 本年度は、アジアにおけるマイノリティ・ディスコースと表象というテーマについて,「ジェンダーの逸脱」という視点から研究を行った。男性優位社会において、ジェンダーの垣根を超越する手段の一つとして用いられた"transvestism"(服装倒錯)について、日本のコロニアリズム支配化にあった満州で活躍した日本女性について調査した。 カリブとアメリカのポストコロニアリズムというテーマについては,旧フランス植民地のポストコロニアル批評について、カリブ諸島から宗主国フランスに留学した学生たちのあいだで、1930年代から60年代にかけて起きたネグリチュード運動に注目して研究を行った。ことに、エメ・セゼール、レオポルド・サンゴールなどこの運動の中心人物たちが文化的な領域で活躍するうちに国家的なアイコンに変容していく一方で,ナーダル姉妹などこの運動の産みの母と呼ばれている女性たちの貢献は看過されてきた。このような彼女たちが書き残した雑誌記事等をつなぎ合わせることで,女性がネグリチュード運動に果たした役割を検証した。 来年度は,アフリカ系アメリカ人のメディアにおける表象についての研究をさらに進めるために,トニ・モリスンの『パラダイス』のテクストを研究していく。
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Research Products
(2 results)