2007 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジアのウズベク・タジク等諸民族の言語接触等に関する社会言語学的基礎研究
Project/Area Number |
18520330
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
菅野 裕臣 Tokyo University of Foreign Studies, 名誉教授 (00091231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 賢二 東北大学, 東北アジア研究センター, 准教授 (90241562)
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Keywords | 言語学 / ウズベク語 / タジク語 / ドゥンガン語 / 言語接触 |
Research Abstract |
研究代表者は平成19年8月-9月にウズベキスタンのタシュケントとサマルカンドを,平成20年2月-3月にクルグズスタンのビシュケクとウズベキスタンのタシュケントを訪ね,ウズベキスタンとクルグズスタンにおける諸言語の社会言語学的状況に関する資料の収集に当たった.また研究協力者は平成19年8月-9月にウズベキスタンで研究代表者とともに,あるいは単独で調査に従事した.研究分担者柳田賢二は日程の都合がつかず,今回は調査に当たれなかった.ウズベキスタンのタシュケントでは広く各種言語資料(主としてテユルク諸語)の収集にあたり,また特にサマルカンドではサマルカンド州及びブハラ州のタジク人,ウズベク人,テュルクメン人,カザク人,ジプシー,ブハラ・ユダヤ人,アラビア人,イラン人等の民族の分布に関して具体的な知識を得,今後の調査のための手がかりとし得た.これについてはきちんとした記録も研究もなく,口コミの情報に頼らざるを得ないことが分った.サマルカンドのマハッラ(末端の地域共同体.民族別の構成になっていることが多い.ウズベキスタンでは最近ますます行政組織に近くなりつつある)に関するサマルカンドの研究者からはその詳細について有力な情報を得,各マハッラの指導者とインタヴューし,各民族における言語の残存の度合い等を調べることができた.ウズベキスタンのウズベク人とタジク人にのみnon-non(第2要素の頭音をmあるいはpに替える一種の畳語)が存在し,しかも彼らの話すロシア語にも同じ現象が生ずることは異なった言語間の接触についての興味ある材料を提供してくれる.この現象及びウズベク語におけるアクセントに関する考察,及びサマルカンドの学者によるサマルカンドのマハッラに関する考察等は報告書に収めた.クルグズスタンでは主としてドゥンガン人の言語に関する調査を行った.
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