2007 Fiscal Year Annual Research Report
日韓対照役割語研究-相互翻訳と言語教育の視点から-
Project/Area Number |
18520341
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Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鄭 惠先 Nagasaki University of Foreign Studies, 外国語学部, 准教授 (40369856)
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Keywords | 役割語 / 翻訳 / 言語教育 / 方言 |
Research Abstract |
まず,2006年度の成果となる論文集『役割語研究の地平』が,2007年9月にくろしお出版から発行された。その中での担当箇所は,第4章「日韓対照役割語研究-その可能性を探る-」(pp.71-93)である。 また,2006年度までは,主に文学作品やマンガなどの対訳資料から見られる翻訳上の問題について,年齢,性別,時代,地域などの要因を幅広く考察してきたが,2007年度に発表した「方言意識の日韓対照-役割語翻訳の観点から-」(『日本語科学』)では,その中でもとくに方言に注目して,両言語母語話者の両言語方言に対する意識を対照、分析した。そこでは,日本における地域方言が韓国における地域方言より,役割語としての度合いが高いということを検証した。また,両国の各方言のイメージと意識の中には多くの共通点が存在し,その共通点を生かすことで翻訳上のレベルアップを図ることができることを強調した。とくに,「近畿方言」と「慶尚方言」の間には共通の役割語スタイルが見られる一方で,一部のステレオタイプの過剰一般化が役割語度アップを促進しているという興味深い結果が見られ,今後の研究でさらに深く検証していく必要があると考える。 なお,本年度は日本語学習者の役割語に対する知識レベルと意識に注目してさらに研究を進めた。2007年9月の学会発表「韓国人日本語学習者の役割語の習得-文末形式と方言に注目して-」では,韓国人日本語学習者が文末語尾などの表面化した書語形式をマーカーとして役割語を理解しようとする,韓国人日本語学習者の日本の方言イメージに地域的な環境が類似する韓国の方言イメージが影響している,という前回までの調査結果に加えて,日本語力,在日期間と役割語についての知識が必ずしも比例するものではないということが新たに検証された。
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Research Products
(2 results)