2008 Fiscal Year Annual Research Report
日韓対照役割語研究-相互翻訳と言語教育の視点から-
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18520341
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Research Institution | Nagasaki University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鄭 惠先 Nagasaki University of Foreign Studies, 外国語学部, 准教授 (40369856)
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Keywords | 役割語教育 / 韓国人日本語学習者 / 翻訳スキル / 物語創作活動 / サブカルチャー |
Research Abstract |
今年度の本研究の具体的な内容は、役割語を日本語教育の学習項目として構築するということであった。韓国人日本語学習者対象の日本語授業で役割語を取り上げ、とりわけ役割語翻訳のストラテジーに重点を置いて、講義・討論・応用を行った。それによって、韓国人日本語学習者への日本語教育においての役割語教育の必要性を再確認し、具体的な教授法を提案することができたと考える。 近年、アニメやドラマなどを通して日本語に接する韓国人日本語学習者が増えている中、「役割語」は学習者の使用語彙になりにくいという理由で、これまでの日本語教育の現場では学習項目として重視されなかった。その結果、「上級レベルの学習者であっても役割語についての知識は母語話者に比べてかなり低い」という実態が、これまでの本研究でも明らかになっている。今年度研究計画の意義と重要性はここにある。今回、上級レベルの韓国人日本語学習者への日本語教育項目に役割語を積極的に取り入れ、教授法を提案・試用した結果、この試みが上記のような問題点の解消に役立つことが証明できたと考える。 実際の教室活動は「導入→考察→確認→応用」の4段階で行われ、具体的な流れは、1.「役割語当てクイズ」の実施、用語説明、先行論文講読、典型的な役割語形式の例示、2.日本語のバリエーションとバリエーションを表すマーカーについて講義・討論、3.両言語原作の漫画を、対訳版で実際照らし合わせながら議論、4.学生がみずから創作・翻訳作業を行う、の4段階である。 以上の実践研究の結果とその成果は、シンポジウム・研究発表会「役割・キャラクター・言語」の中でシンポジウムの形式で発表された。
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Research Products
(1 results)