Research Abstract |
本研究は,自然な会話コミュニケーションにおける「発話」を,音声言語,手話,ジェスチャーという複数の表現モダリティの間の統合的関係によって構成される情報伝達のためのまとまり(単位)と見なし,これを,(I)統語構造,(II)情報構造,(III)相互行為という異なる3つの観点から分析することを目的とした. 前年度までに収集・整備したデータに基づき,本年度は,(I)〜(III)の3つの観点を相互に関係づけることによって,さまざまな表現モダリティの統合によって構成される「発話」構造の解明を行った.具体的には,次の3点を解明の焦点とした統合的分析を行った. (A)音声言語とジェスチャーからなる会話において,音声や手指動作,うなずきなどの表現モダリティ間の統合が「発話」単位レベルでどのように達成されているか(研究代表者高梨,連携研究者細馬,研究協力者城). (B)ジェスチャー的特徴を含む手話会話において,語彙的文法的手指動作,ジェスチャー的手指動作,うなずきなどの表現モダリティ間の統合が「発話」単位レベルでどのように達成されているか(連携研究者堀内,原田,研究協力者坊農). (C) (A)と(B)とでは,「発話」構成に使用される表現モダリティとこれら表現モダリティ間の統合の方法に関して,どのような共通点と相違点が見られるか(研究代表者高梨,連携研究者神田).本年度は最終年度であったため,以上の研究成果を学術論文や学会発表として積極的に公表した.
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