2009 Fiscal Year Annual Research Report
項目応答理論と構造方程式モデリングを用いた英語教育効果の検証
Project/Area Number |
18520422
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
斉田 智里 Ibaraki University, 人文学部, 准教授 (50400594)
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Keywords | 英語学力テスト / 項目応答理論 / 構造方程式モデリング / 学習指導要領 / 等化 / 授業評価 / 英語教育 / 教育評価 |
Research Abstract |
(1)項目応答理論(IRT)を用いた事後的等化法による英語学力の経年変化に関する研究から以下の3点が明らかとなった。(1)調査開始の1995年度から2008年度まで高等学校入学時のIRT尺度値平均が年々低下していた(14年間でZ得点換算で7.4点の低下),(2)低下の程度は,平成元年改訂学習指導要領実施下より平成十年改訂実施下のほうが大きかった(平成元年改訂実施下の8年間で約3.4点の低下,平成十年改訂実施下の6年間で約4点の低下),(3)成績上位層の低下の程度より中位層と下位層の低下の程度のほうが大きく,特にこの傾向は平成十年改訂学習指導要領実施以降により強まり学力の格差が広がっていた。学習指導要領は全国一律で実施されているため,本研究結果と同様の低下傾向が全国の他の地域でも起こっている可能性は否定できない。本研究から示唆される今後の課題5点について論じた。以上を博士論文としてまとめた。 (2)構造方程式モデリングの一手法である成長曲線モデルを用いて1995年度から2002年度までのIRT尺度値の経年変化を分析した。その結果,(1)年度ごとに学力低下が見られること,(2)調査開始年度に学力の高い学校ほど低下の程度は小さく,学力の低い学校ほど低下の程度が大きいことが実証された。本研究成果は,大学英語教育学会誌に掲載された。 (3)神奈川県の高等学校で実施されている県下一斉英語学力テストの改訂を行った。4種類の難易度の異なる英語テストに2割程度の共通項目をそれぞれ含め,項目応答理論を用いてデータ分析を行った。その結果,(1)4つのテストの難易度順は問題作成者の意図通りであること,(2)テスト情報量の観点からは4つもテストを作成する必要性はなく,2または3つ程度のテストで十分幅広い能力値に対応できることが示唆された。 (4)大学英語教育プログラムにおける評価システムを構築した。学内共通テストの妥当性検証を行った。これらにより教育効果の継続的検証が可能となった。本研究成果は全国英語教育学会誌及び日本テスト学会誌に掲載された (5)以上の研究を通して,項目応答理論による学力の共通尺度化,及び,構造方程式モデリングによる教育効果の検証は英語教育研究において有益なツールであることを示すことができたと考えられる。
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Research Products
(7 results)