2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会文化的アプローチにもとづく英語科教師の学びに関する研究
Project/Area Number |
18520436
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
吉田 達弘 Hyogo University of Teacher Education, 学校教育研究科, 准教授 (10240293)
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Keywords | 英語教育学 / 教師教育 / 社会文化的アプローチ / ナラティブ |
Research Abstract |
本研究では,社会文化的アプローチを基礎理論として,英語教師の学びの研究について新しい枠組みを提供し,英語教師の学び・成長を支援する英語教師教育を実施することを目標とし、研究を進めてきた。本年度は、研究期間の最終年度にあたり、上記目標を達成するために、研究方法をナラティブ・アプローチに絞り、英語教師教育研究をおこなった。本研究では、大学院の授業で作成したポートフォリオにコースワークとして、学生が自らの授業実践および英語学習に関する経験を綴り、蓄積し、このポートフォリオのエントリーをデータとし、分析・解釈を進めた。多数のエントリーの分析を行ったが、一つ例を挙げると、英語教育におけるカリキュラムを巡る議論では、当初、多くの学生がカリキュラムを国から与えられるもの、指導計画、あるいは、教科書そのものと同一視していた。しかし、学生と授業担当者が対話を続けるうちに、カリキュラムを所与のものとする考えから、教師や生徒たち(あるいは、彼らの経験)がカリキュラムを構成する一部となっていること、積極的に働きかけ、デザインすることが可能であるというカリキュラムに対する理解が変容するケースが観察された。この変容は、特に、エントリーの中に使用されるメタファーの変化として現れた。 このように、ナラティブ・アプローチによって、1) 教師が自らの実践知,信念を言語化すること、2) 教室の状況の複雑さ,実践での葛藤,苦しみ,喜びに向き合うこと、3) 自分の成長のあしあと・アイデンティティに気付くこと、4)実践を意味づけ,再構造化すること、が可能となった。 課題として教師教育において、質の高いナラティブ生成の場を確保することの必要性、および、質の高いナラティブを生成するための評価基準の精緻化が挙げられる。
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Research Products
(2 results)