2006 Fiscal Year Annual Research Report
大内氏領国の総合的研究-その文化性の継承の視点から-
Project/Area Number |
18520499
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
岸田 裕之 龍谷大学, 文学部, 教授 (10093585)
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Keywords | 戦国大名 / 大内氏 / 大内文化 / 武家故実 / 毛利氏 |
Research Abstract |
戦国時代に大名大内氏は山口を本拠に"大内文化"と称される特色ある文化的環境を形成した。その基盤は、九州北部に及ぶ領国内はもちろんのこと、京都、そして朝鮮・中国・琉球・ヨーロッパ等国際社会との交流の広がりと、それによる経済力にあった。 本研究では、大内氏が京都政権から相対的に自立して形成した地域国家の制度、その国家観等について、それを支えた文化性に視座をすえて総合的に明らかにすることを目的とする。 具体的には、これまで毛利家秘蔵の伝来文献であるいわゆる教養物(大内氏時代の武家故実書)と通称される巻子史料(防府毛利報公会毛利博物館所蔵)を調査・研究し、それらの翻刻、解題、解説作業を進め、当時におけるその活用のあり方について研究を行う。 弘治3年(1557)の大内氏から毛利氏への政治権力の交代のなかで、継承されたものもあれば断絶したものもあるが、大名や家臣、国人たちのこうした故実書の読書やそれを活用した日常的な交流を通してその文化性は継承された。これらの貴重な史料は、大内氏の宝蔵に保管され、滅亡後に毛利氏に伝えられたと思われるものもあるが、それらの解析によって、毛利氏時代になって付け加えられた部分を引きはがし、大内氏時代の武家固有の生活文化の様相を復原的に構成して論じたい。 本年度は初年度であり、主に毛利博物館所蔵の故実書の内、整理し目録取りのうえ大内氏滅亡以前のものと判断された大内氏家臣江口興郷筆の軍書、弓法書、馬書、室町幕府の伊勢貞順筆の仕付方書、躾方書、あるいは張良師伝兵書などの約100点の写真撮影を行った。また大内氏の基盤の一つが貿易にあったこと、とくに琉球国経由で行った明をはじめとするアジア諸国との貿易の重要性に鑑み、出航地となった南九州の油津、志布志、山川などの港津の臨地調査を行った。島津氏は大内氏渡唐船の新造を行ったり、種子島氏らとともに航路の安全を保障するなど、大内氏を援助したが、現地において地形・眺望両面におけるその良港としての実態、並びに彼らが支配した広く大きな領海の重要性を確認した。 研究の基礎となる史資料の蒐集に大きな成果をあげた一年であった。
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Research Products
(2 results)