2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520525
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
細井 浩志 活水女子大学, 文学部, 教授 (30263990)
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Keywords | 時刻 / 時間計測法 / 朝野群載 / 若杉家文書 |
Research Abstract |
本年度はまず研究環境の整備を行い、次いで予定通り法制関係史料の調査を行った。環境整備としては、主に調査用ノートパソコン並びに周辺機器を購入し、また木簡・時間関係を中心とする研究図書を購入し、古代を中心とする時間意識または関連の研究論文・史料を入手した。また法制関係史料と六国史を対象に諸行事、諸儀式における時間規定および時間関係記事を調査し、データ集積を行った。この過程で特に六国史における時間関係記事が事実の記録としてどの程度忠実か、またどのような時間計測法を反映するのかが問題となる箇所も発見された。また『朝野群載』は現行の活字本(新訂増補国史大系)に大きな問題がある事が予想されたため、写本調査を行った。まず神宮文庫にて活字本の底本、校訂使用本を漏刻・時刻関係の史料の多い巻一、八、十五を中心に検討したところ、予想以上に活字本には指示のない意改が多く見られ、また時刻の数字や行幸時の漏刻に同行する守辰丁の数などに関して、校訂注のない写本間の違いが見られること等が判明した。このため宮内庁書陵部・国立公文書館(内閣文庫)にて同写本の追加調査を行った。この結果、概ねこうした数字の精度を確認する事ができた。また派生して字句の最終確定の前提となる同書写本系統を将来的に解明する手がかりが得られた。次に陰陽師若杉家に伝来の若杉家文書に反閉関係史料・日時勘文が多い事が判明したので、京都府立総合資料館で史料調査を行った。目録を使って抜き取り調査した結果、古代・中世初期の日時勘文および儀式記録を確認することができた。以上、本年度の研究により法制史料に見える時間規定そのものは明確だが、それを厳密に実行させる計時環境の解明が重要課題である事、史料校訂の必要性がより明らかになった。
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