2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520553
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
池谷 文夫 Ibaraki University, 教育学部, 教授 (00114009)
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Keywords | 神聖ローマ帝国 / 帝権理念 / 皇帝戴冠 / 国王選挙 / ローマ人の王 / 皇后 / 王后 / 共治者 |
Research Abstract |
平成19年度の研究では,時代としては主にシュタウフェン朝時代から「大空位時代」を挟み,選挙王制の時代に至るまで(12世紀初め〜13世紀末までの約200年間)の,神聖ローマ帝国の複合性に即した政治史,帝権理念史を究明した。具体的には,諸資料の厳密な読解に基づく個別の支配者たち(皇帝及びドイツ王)の事蹟研究である。 それに加えて,叙任権闘争後の12世紀に加速する帝国の封建化とは裏腹に,帝国・帝権の普遍化志同は進み,その一方で,ドイツにおける諸侯・領域支配権の交錯・複雑化が進むが,その経過における理念的な「神聖帝国」「キリスト教帝国」と現実政治との葛藤を,オットー・ザリアー両朝時代とは異なる時代の神聖ローマ帝国史上の王后,皇后から光を当てて究明した。 平成20年度の研究につなぐべく,中世最後期(14・15世紀から宗教改革を挟み16世紀半ばまで)の,「ドイツ帝国」化した神聖ローマ帝国と,ドイツ王=皇帝権の理念と現実の相克の究明に一部踏み込んでいる。すなわち,帝国の「ドイツ化」に伴い,政治的現実を背景とするドイツ帝権・王権と,理念的・イデオロギー的な神聖帝権・ローマ帝権との相克の過程が検証対象となった。 とりわけ,王妃・王后,皇后の称号とその機能・権限については,あらためて神聖帝国の皇帝権の研究の大きな分野として捉え,帝国史全般を見通しつつ19年度に積極的にアプローチを行い,ローマでの皇帝・皇后同時戴冠等の事例も踏まえて,「ドイツ帝国」及びそれを構成する各分国における「共治者」(consors)としての「王后」(regina Romanorum),「皇后」(imperatrix Romanorum)の業務や治績(「摂政」・「皇帝代理」・「総督」;王后・皇后財産の所有者,教会への寄進者等)を検証した。その成果は平成20年度にまとめる平成18-20年度科学研究費補助金の基盤研究(C)研究実績報告書に結実する。
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Research Products
(1 results)