2006 Fiscal Year Annual Research Report
中世後期イングランドのジェントリ家系文書群に関する研究
Project/Area Number |
18520559
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
新井 由紀夫 お茶の水女子大学, 大学院人間文化研究科, 助教授 (30193056)
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Keywords | 中世史 / 史料学 / 家系文書 / ジェントリ / イギリス |
Research Abstract |
本研究は、中世後期イングランド社会の具体的諸相を、ジェントリの視点から明らかにするという全体構想のもと、それを探るために、ジェントリの関係する史資料の全貌を体系的に明らかにすることを目的としている。比較的まとまった史料群でありながら、公文書とは違うため英国史料データ化プロジェクトには載らないような中世後期ジェントリの家系文書史料であるイングランド北部のヨークシァ、リーズ市文書館所蔵の、プランプトン家文書を、まるごとデジタル画像ファイル化しその史料類型と内容のあらましを整理分析することが本研究の目標である。本年度は研究初年度にあたり、リーズ文書館史料調査およびデジタル画像ファイル化作業を行った。リーズ文書館所蔵、プランプトン家文書(千数百点)を、1点ずつデジタル画像ファイル化した結果、合計2207ファイルとなったが、調査の結果、思いの外、史料の劣化が進んでおり、注意深い作業が必要なことが判明した。従って、解像度やレンズを変更するなどして、次年度も引き続き調査・デジタル画像ファイル化を行う必要がある。しかしながら、挿入された紙部分のすかし模様、裏表紙として用いられている羊皮紙が、文書の再利用したものであること、書体の違いや、所有者によるメモや印、斜線で削除を示す印の部分や、あるいは切り取られた部分の存在など、この家系文書史料群が作成された際の意図や目的を伺わせるようないくつかの興味深い事実が判明した。特に、このいわば家系のカーチュラリを編纂する時点ではまだ現存していたばらばらの証書類が、どのような束として分類され整理されていたのかを示すような書き込みメモの存在は大変興味深い。以上のような、ファイル化作業の過程で明らかとなった事実に留意しつつ、引き続き検討を加えていく必要がある。
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