2007 Fiscal Year Annual Research Report
中世後期イングランドのジェントリ家系文書群に関する研究
Project/Area Number |
18520559
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
新井 由紀夫 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (30193056)
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Keywords | 中世史 / 史科学 / 家系文書史料群 / ジェントリ / イギリス / プランプトン家 / キャサリン・ラングレイ |
Research Abstract |
本研究は、中世後期イングランド社会の具体的諸相を、ジェントリの視点から明らかにするという全体構想のもと、それを探るために、ジェントリの関係する史資料の全貌を体系的に明らかにすることを目的としている。今年度も引き続き、イングランド北部のヨークシァ、リーズ市文書館所蔵の、プランプトン家文書を、まるごとデジタル画像ファイル化しその史料類型と内容のあらましを整理分析する作業を続行した。挿入された紙部分のすかし模様、裏表紙として用いられている羊皮紙が、文書の再利用したものであること、書体の違いや、所有者によるメモや印、斜線で削除を示す印の部分や、あるいは切り取られた部分の存在など、この家系文書史料群が作成された際の意図や目的を伺わせるようないくつかの興味深い事実が、昨年の調査で明らかとなった。今年度はそれらの意味を検討するために、エセックス、リクリングホールのナイト家系であるラングレィ家Langleyが、15世紀後半に作成した、家政会計簿household accountを調査し比較検討した。ラングレィ家は、家系のカーチュラリを編纂することはなかったが、ばらばらの証書類などが多く残存しており、プランプトン家の文書と比較することで、どのような束として分類され整理されていたのかの過程が比較検討出来、プランプトン家文書にある書き込みメモの意味があらためて明らかになった。また、家系文書として残されていた、ジェントリの贖宥状(ペラム家やラングレイ家のキャサリンのものなど)を、家系文書内になぜ残されていたのか、残すことにどのような意味が当時あったのか、などを検討することで、プランプトン家の贖宥状写しが残された意味を比較検討した。以上のような、家系文書史料にまつわる諸点に留意しつつ、引き続き検討を加えていく必要がある。
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Research Products
(1 results)