2006 Fiscal Year Annual Research Report
西ドイツ「第二の建国期」におけるドイツ社会民主党の変容
Project/Area Number |
18520564
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安野 正明 広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (80202365)
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Keywords | ドイツ社会民主党 / 戦後ドイツ / 1960年代 |
Research Abstract |
この研究補助金を得て,平成18年度から4年間をかけて取り組む課題は,最近のドイツ戦後史研究で「第二の建国期」と評価されている1960年代の西ドイツにおいて,「万年野党」を定められたかのような停滞状況にあった社会民主党が,何をどのように変えて政権担当政党に発展したのかを、一次史料に基づいて実証的に研究することである。 初年度の平成18年度においては,時期的には1960年代前半(1966年のキリスト教民主同盟・社会同盟との大連立政権樹立前まで)に特に重点を置いて,研究を進めた。この時期に関しては,従来の内外の研究を見ると,大連立政権参画から1969年のプラント政権樹立に至る1960年代後半の社会民主党の変化については「サクセス・ストーリー」としてよく論じられるのに対し、「1961年と1965年の連邦議会選挙の間については、社会民主党の活動には見るべきものはなかった」と語られることが一般的で,評価されていないが,そのようなとらえ方にかねてから疑問を感じているからである。 具体的な作業としては,上記の問題を考察するために必要な二次文献の入手に努めたうえで,ドイツのボンにある社会民主党文書館で一次史料収集を行った。重点的に当たったのは,社会民主党幹部会議事録など1960年代前半の社会民主党指導部関係の諸文書,オレンハウアー党首の個人文書・遺稿集などである。 今年度については文献および未刊行史料集めが中心となり,この間に書き上げて海外の学会誌に投稿した論文はまだ査読中で,平成18年度に活字になった業績ははない。しかし史料収集と分析は着実に進んでおり,実証的な歴史研究論文として発表するために今しばらくの時間をいただきたい。
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