2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520568
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
栗田 和典 University of Shizuoka, 国際関係学部, 教授 (90249300)
|
Keywords | 恩赦嘆願 / 統治技法 / 市裁判官 |
Research Abstract |
平成19年度の研究実施計画では二つの目標を設定した。すなわち、都市の統治技法にかんする研究のレヴューと筆頭治安判事であったロンドン市長の業務録の検討である。 研究の整理については、国内の研究会として、昨年度にひきつづき近代イギリス政治・経済・社会研究会(首都大学東京)に参加し、食糧一揆などの騒乱時における当局の対応について理解をふかめた。また、名古屋大学図書館にてひろく近代イギリスにかかわる文献の調査・収集をおこない、公共制度としての裁判機構にかかわる文献を精読した。 ロンドン市長の業務録については、その一部をテキスト入力するとともに、市裁判官(recorder of the City of London)の役割もあわせて検討した論考を発表した。前者について、本研究があつかう恩赦嘆願状の手続きにはほとんど関与しないことが判明したので、閣議にみずからの判断を報告した市裁判官の役割の重要性が再認識された。 また、インタネット上に公開されている、18世紀当時に出版された裁判記録集を概観すると、恩赦をみとめられなかった犯罪者がきわめて少数であったことが理解される。裁判のなかで連続的に恩赦をみとめられた層と、あらためて国王恩赦嘆願状を作成した層との差異を明確にする必要性を認識した。
|
Research Products
(2 results)