2008 Fiscal Year Annual Research Report
第2次世界大戦期における米軍「精密爆撃」の変容 -原爆投下への道程-
Project/Area Number |
18520569
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
田中 利幸 Hiroshima City University, 付置研究所, 教授 (10329336)
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Keywords | 戦略爆撃 / 無差別爆撃 / 精密爆撃 / 空爆 / 米陸軍航空軍 / 戦争倫理 / 原爆投下 / 防空政策 |
Research Abstract |
(1)イギリス国立公文書館における調査 昨年度に引き続き、第2次世界大戦中のヨーロッパ戦線における連合軍側のドイツ空爆、とりわけイギリス空軍RAFの爆撃軍団の空爆戦略の実態と思想が、いかに米国爆撃軍の戦略ならびにモラルに影響を与えたかを調査するため、英国立公文書館所蔵の関連資料の収集に当たった。英軍が行っていた夜間の無差別爆撃とはあくまでも一線を画し、昼間の「精密爆撃」に固執していた米陸軍航空軍の指導層が、実際には無差別の「地域爆撃」へと戦略を移行させていった過程の解明に焦点を当てて資料探索に当たった。また一昨年は、RAFによる敵国ドイツへの空爆が当時のイギリスの新聞や大衆雑誌においてどのように報告されて、その結果どのような大衆イメージが形成されたのかについて調査を行ったが、昨年度は、戦時英国政府がそのような大衆イメージ作りにおいて、メディア統制上どのような役割を果たしていたかに関する資料調査を、同じくイギリス国立公文書館において、実質3週間にわたって行い、この問題に関する英米比較研究を行った。 (2)国立国会図書館における調査 1923年の段階で、日本が米国と戦争になれば、東京をはじめ日本各地の都市が米軍による空爆で大被害を受け敗北することは避けられないと的確に予測した、元海軍士官で反戦平和論者に転じた批評家、水野広徳や、関東防空大演習に対して極めて批判的であった桐生悠々らの論述が、当時の日本人には一般にどのように受け止められていたのかに関して、戦前・戦中の雑誌や新聞に掲載された記事ならびに関連著書の調査を国立国会図書館において行い、収集した資料の分析にあたった。
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Research Products
(2 results)