2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520582
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
篠原 和大 Shizuoka University, 人文学部, 准教授 (30262067)
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Keywords | 考古学 / 中部地域 / 農耕形成期 / 稲関連資料 / 灌漑水田耕作 / 静岡清水平野 / 手越向山遺跡 / 弥生畠作 |
Research Abstract |
本研究では、日本列島中部地域の農耕形成期の文化について分析をおこなった。このため、中部地域の弥生前期から中期前半期の文化を主たる対象とし、土器や石器、稲関連資料、遺跡の立地と周辺環境などのデータを収集し、基礎資料の作成をおこなった。また、関連する静岡市手越向山遺跡の発掘調査を実施し、弥生時代中期前半の可能性のある畠状遺構を検出するなど、重要な成果を得た。 平成20年度は、これまでの研究成果の取りまとめを中心に研究を実施したが、19年度に引き続きおこなった静岡市手越向山遺跡の発掘調査とその概要報告書の刊行もまた主たる研究成果となった。8月に実施した発掘調査では、前年度検出した弥生中期後半の方形周溝墓下層から、よく撹拌された黒色土の覆土とその下面に広がる浅い溝状遺構の連続を確認し調査した。これらは畠の構造を示している可能性が高く、時期は弥生時代中期前半に遡る可能性が高い。畠であるならば、現状で東日本の弥生時代でもっとも古い検出例となる。これらの成果については概要報告書にまとめ刊行した。こうした調査成果が加わったことにより、当初の目的であった農耕形成の具体的モデル構築も進んだ。 こうした成果により、11月に開催された日本考古学協会大会では「本州中部地域における農耕形成の一つのモデル-静岡清水平野を事例として-」と題する発表をおこなった。また、本研究のテーマの一つであった農耕形成に関連する遺跡の立地環境の問題についても「静岡・清水平野における弥生遺跡の分布と展開」と題する論文にまとめ、すでに投稿済である。 以上のように、本研究により、列島中部地域における農耕形成に関して、畠状遺構の発見など極めて重要な事例が明らかになり、その具体像をモデル化することができたことは非常に意義深い。
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Research Products
(4 results)