2007 Fiscal Year Annual Research Report
八代海沿岸地域における古墳時代在地墓制の発達過程に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18520587
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉井 健 Kumamoto University, 文学部, 准教授 (90263178)
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Keywords | 考古学 / 古墳 / 天草 / 千崎古墳群 / カミノハナ古墳群 / 横穴式石室 / 箱式石棺 / 鉄製品 |
Research Abstract |
1.熊本県上天草市千崎古墳群の発掘調査の実施 昨年度に引き続き、千崎古墳群所在の5号墳および10号墳の発掘調査を実施した。これにより、5号墳では横穴式石室の構築過程が、一方、10号墳では箱式石棺の棺外副葬状況が明らかとなった。とくに、10号墳箱式石棺の棺外テラス面に、石棺材加工によって生じたと推測できる砂岩片が多数埋納されていた点は、古墳時代の葬送儀礼を考察するうえで重要である。 2.熊本県上天草市カミノハナ古墳群出土遺物の再整理作業の実施 カミノハナ古墳群は1981・1982年に発掘調査が実施され、多くの鉄製品や埴輪が検出された。それらは八代海沿岸地域の古墳時代在地墓制を考察するうえで重要な資料となるが、既刊の概報では十分に分析されているとは言い難い。そこで、その再整理作業を本研究の中心に据え昨年度から作業を継続中である。本年度はX線写真の撮影を実施し、それをもどに実測作業および資料観察を行った。 3.八代海沿岸地域の古墳時代在地墓制の実地調査および研究協力者との研究会の実施 本年度は9名の熊本の古墳時代研究者仁研究協力者としての参加をお願いしたが、それらの方々とともに八代海南部(水俣・長島)沿岸地域の古墳を実地に見学した。その過程で、新たな製塩土器の存在を確認するなどの成果を得た。また、研究報告書作成に向けて、各人の見解を整理するための研究会を実施した。 4.八代海沿岸地域の古墳時代墓制に関する基礎資料の収集 日本考古学協会2007年度熊本大会の開催と連動させる形で、肥後型横穴式石室に関連する資料を収集・整理した。
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