2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520593
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山形 眞理子 早稲田大学, 文学学術院, 助教授 (90409582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 和彦 上智大学, 外国語学部, 講師 (50407384)
松村 博文 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70209617)
高橋 龍三郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80163301)
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Keywords | 考古学 / 東南アジア / 形態人類学 |
Research Abstract |
2007年1月、ベトナム中部・カインホア省カムラン市に位置するホアジェム遺跡の発掘調査を実施した。ベトナム南部社会科学院、カインホア省博物館との共同調査である。ホアジェム遺跡を発掘した理由は、この遺跡から数年前に出土した土器がフィリピン中部のカラナイ洞窟出土土器と酷似することに気づき、南シナ海をはさんだ先史時代の交流をテーマとした本研究にとって最もふさわしい遺跡と考えたからである。今回の発掘で14基の甕棺墓が検出された。いずれも一次葬であり、幾つかの甕棺には3人以上の複数埋葬がみられた。甕棺の型式はベトナム中部の鉄器時代サーフィン文化とは異なり、南部のサイゴン川河口に位置する遺跡と似る。副葬されたビーズ類もサーフィン文化とは異なり、中国の漢のビーズとその組成に似る。漢代の銅銭2枚が副葬される甕棺墓もあった。注目されるのは副葬土器で、類似土器がフィリピンのみならず、タイのサムイ島からも知られている。多方面との交流を示唆するホアジェム遺跡であるが、この遺跡が1960年代にハワイ大学の考古学者ソルハイムが提唱したような、南島語族の移動を物語る証拠となりうるのか。発掘調査には形質人類学専門の松村博文とフィリピン考古学専門の田中和彦も参加した。松村は2006年9月にベトナム中南部の人骨調査を行い、それにホアジェム出土人骨を加えて、人類学的の方面から人間集団の移動の可能性をさぐる。田中は土器の面からフィリピンとベトナムの比較研究に取り組んでいる。なお、環南シナ海地域に分布する特殊なタイプの耳飾りについて、山形とグエン・キム・ズンがデータの収集を開始した。サーフィン文化の特徴と見なされてきた耳飾りであるが、最近その幾つかの資料が、台湾産の軟玉から製作されたことが明らかになった。製作地と分布の問題を考え直すためにも、基礎的な集成作業を進める必要がある。
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Research Products
(4 results)