2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520593
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山形 眞理子 Waseda University, 文学学術院, 准教授 (90409582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 和彦 上智大学, 外国語学部, 講師 (50407384)
松村 博文 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (70209617)
高橋 龍三郎 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80163301)
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Keywords | 考古学 / 東南アジア / 形態人類学 |
Research Abstract |
平成18年度に実施したベトナム中部・カインホア省カムラン市ホアジェム遺跡の発掘調査は、南シナ海をはさんで行われた先史時代の人々の交流を示す証拠をもたらした。平成19年度には、発掘調査で出土した遺物と図面の整理、分析、報告書の作成作業を実施した。まず、2007年7月26日から8月11日にかけて、カインボア省博物館において第一次整理を実施、これには日本から山形と高橋が参加した。高橋はベトナム人考古学者と博物館員に対し、土器整理と分析の方法について指導を行った。同年9月17日から9月20日にかけては、松村が同博物館において出土人骨の整理を実施した。さらに2008年2月26日から3月6日にかけて、山形が再びカインホア省にもどり第二次整理を実施した。整理作業の結果、発掘区から甕棺墓14基、伸展土坑墓2基の出土を確認し、それらの年代について紀元後1、2世紀におさまるものと結論づけた。6個体の甕(棺体)をはじめ、多くの副葬土器を接合・復元することができたが、それらは従来知られたサーフィン文化の土器とは異なる。一方、土器はフィリピン中部力ラナイ洞穴出土土器と酷似しており、1960年代にハワイ大学のソルハイムが提唱した「サーフィン・カラナイ土器伝統」の再吟味が課題となった。(株)シパレオ・ラボに依頼し、ホアジェム出土人骨・炭化物・貝サンプルのAMS年代を測定した。人骨自体の年代を得ることはできなかったが、炭化物と貝の年代はほぼ前1千年紀前半を示した。これは墓葬に先行する居住の年代と考えられる。14基の甕棺墓のうち3基が複数遺体埋葬で、5人の骨と歯を含むものもあった。形態人類学的分析によれば、人骨の特徴はフィリピンのネグリトに近い。以上の成果について、2007年10月におこなわれた第61回日本人類学会大会においてポスター発表を行った。
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Research Products
(2 results)