2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520599
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Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
次山 淳 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 都城発掘調査部, 主任研究員 (80260058)
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Keywords | 考古学 / 3・4世紀 / 土器 / 国際交流 |
Research Abstract |
日本列島の弥生時代終末から古墳時代前期にあたる3・4世紀において、中国大陸・朝鮮半島をはじめとする東アジア諸地域との間にさまざまなかたちの交流があったことは、彼我の多様な考古資料と、『魏志倭人伝』等の文献史料の記載からうかがい知ることができる。本研究は、考古資料、なかでも土器を主たる材料として、当時の日本列島と朝鮮半島の交流のありかたを考察しようとするものである。このための分析の視点として、(1)畿内から瀬戸内海、北部九州、壱岐、対馬へいたる畿内系土器の動態、およびその逆方向の各地域の土器の動きの把握と分析。(2)日本列島で出土した朝鮮半島系土器の実態の把握と分析。(3)朝鮮半島で出土した日本系土器の実態の把握と分析。(4)交流の門戸としての玄界灘沿岸集落遺跡の内容の把握と分析。(5)畿内への窓口である大阪湾・河内湖沿岸集落遺跡の内容の把握と分析、の5項目を設定した。 本年度は、それぞれの課題について、A基礎文献収集、B資料実態の把握、C資料の実地調査を継続するとともに、特に日本列島出土の朝鮮半島系土器資料について分布傾向を中心に検討を加え、対馬・壱岐をのぞく九州以東の西日本において現在までに公表された朝鮮半島系土器資料77遺跡1183点余のデータを収録した『3・4世紀を中心とする西日本出土朝鮮半島系土器資料集成』を成果報告書として作成した。この作業から、当該期における朝鮮半島系土器の空間分布と出土量の時系列的な変化を読み取り、西日本全域でのありかたを確認するとともに、北部九州地域における楽浪系土器の分布の特徴、福岡市西新町遺跡へ極度に集中する状況等について資料にもとづいた具体的な知見を得た。
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