2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18520603
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
田中 恭子 Saitama University, 経済学部, 教授 (70272276)
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Keywords | シングルマザー / 家賃補助付き住宅 / インナーシティ / オハイオ州コロンバス / 公営住宅 / ホームレス / スウェーデン / 住宅政策 |
Research Abstract |
アメリカでは低所得シングルマザー世帯がインナーシティに集中し,「貧困の女性化」という現象が深刻である。自由主義福祉国家の典型であるアメリカと,社会民主主義福祉国家の典型であるスウェーデンにおいて,大都市におけるシングルマザーの住宅問題を調査し国際比較研究を行った。平成18年8月に,スウェーデンのストックホルムにおいて地域調査を実施し,平成19年9月に,アメリカのオハイオ州コロンバスにおいて地域調査を実施した。 アメリカでは,住宅供は市場原理が原則で,政府はほとんど住宅政策にも関与しない。オハイオ州コロンバスでは,公営住宅供給が著しく少なく,その上,公営住宅は基本的に無職の期間にのみ居住できる。貧困層の住宅は民間によって提供され,州政府は家賃補助制度によって支援している。家賃補助付き住宅は,インナーシティの老朽化した住宅地区に多く分布している。アメリカの貧困層の居住地域が地域的に集中する諸条件のひとつが,このような低所得世帯がアクセスできる家賃補助住宅の立地が地域的に限定されているということがある。家賃補助付き住宅を提供する家主は,家賃が抑制されていることもあって,改築・修繕などのコストをかけることを厭い,結果として良質の住宅ができない。オハイオ州立大学の周辺地区において,大学も連携した非営利組織が一部の荒廃した家賃補助住宅地区の修繕・建替えを推進する活動を展開している。
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