2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの水産資源や漁場利用慣行に関する比較研究-民俗知モデル構築をめざして-
Project/Area Number |
18520627
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Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
李 善愛 Miyazaki Municipal University, 人文学部, 教授 (90305863)
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Keywords | 海女 / 海士 / 資源利用慣行 / 民俗知 / 水産資源 / 漁場利用 |
Research Abstract |
本研究は、日韓両国の地域別アマ(海女・海士)の漁業と生活について社会・経済、宗教、生態との関係から総合的にみることで、日韓両国の水産資源と漁場利用慣行について海域別「民俗知」の特徴を明らかにする。そのため平成20年度は、韓国全羅南・北道、忠清南道西海岸沿岸地域と、日本福井、石川、福島、茨城、千葉県沿岸地域で聞き取り調査を行った。その結果を地域別にまとめると、以下のとおりである。まず韓国の西海岸沿岸地域は海女を中心に船で操業し、海藻類は共同体で管理、採取・分配しているが、海藻採取は人手が要るため、高齢化と人口減少で海藻漁場の共同管理、利用形態は無くなりつつある。一方、個人が漁場を造成してその場にあった資源の管理・利用しているところもあり、村人の共同資源管理形態から個人による資源や漁場利用形態も生まれている。一方、日本は海女の高齢化により男性がその後を継いでおり、東北一部沿岸は密漁対策のため、操業時間を1日1時間前後に制限してアクラランクに操業形態を変えている。 以上からみると、環シナ海沿岸における日韓両国のアマ(海女・海士)には高齢化と密漁という問題が自然と社会,経済変化より深刻で、韓国では個人による漁場利用形態やアクラランクによる操業形態をとりいれながら持続的な資源利用戦略をとっているのが大きな特徴といえる。
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