2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺尾 美子 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (20114431)
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Keywords | 内部告発者 / 公益通報者 / コンプライアンス |
Research Abstract |
本年度は、本研究のテーマに関して研究を進める上で必要な基本的資料を収集し、テーマについてのアメリカにおける研究の全体像を把握することに努めた。アメリカにおいて、内部告発者の保護の必要性が社会一般に広く認識されるようになったのは、1970年代後半から1980年代にかけてであった。本年度の研究では、一方で、内部告発保護の社会的必要性が認知されるに至ったアメリカ社会の諸種の変化についてのケーススタディ的諸研究を追い、その理解を深めるとともに、それに伴い進められた諸種の内部告発者保護法制の発達を調査した。 こうした作業の結果、アメリカにおける内部告発者保護法制の流れを生み出した諸種の社会的出来事、内部告発者保護を必要とする様々な理由、社会的要請等についてある程度の知見を得た。また、アメリカにおける内部告発者保護法制は、連邦法・州法にまたがり、そのあり方も多岐に渡っているが、連邦法、州法にわたる内部告発者保護に関係した法のあり方を、制定法、判例法の双方について把握するとともに、その歴史的展開・発展につき、概括的理解を得た。こうした研究を元に、「アメリカ社会と内部告発」(『シリーズ・アメリカ研究の越境第四巻:個人と国家のあいだ』(ミネルバ書房)収録予定)と題する論文を脱稿した。 上記研究の準備作業と平衡して、学部大学院合併の演習においてこのテーマを取上げ、判例法を中心として法の発展・変化を分析し、内部告発者保護法制度の整備に関する様々法的問題点の分析を行った。
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