2006 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋戦争中の日本国内における欧米人捕虜の処遇に関する日本赤十字社文書の研究
Project/Area Number |
18530015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
大川 四郎 愛知大学, 法学部, 助教授 (70185205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 利三 三重中京大学, 現代法経学部, 教授 (70151818)
加藤 順一 星城大学, リハビリテーション学部, 助教授 (90259359)
桝居 孝 三重中京大学, 地域社会研究所, 研究員 (00424961)
原 禎嗣 北陸大学, 能力開発センター, 助教授 (80257493)
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Keywords | 基礎法学 / 国際人道法史 / 国際法学 / 日本史 / 政治学 / ジュネーブ条約 / 捕虜問題 / 救恤活動 |
Research Abstract |
私たちは、本年度より、太平洋戦争中の日本赤十字社文書(以下、「日赤戦中文書」)の解読と整理を始めた。この文書が当初の想像以上に乱雑な状態にあるため、単なる史料翻刻や解読だけでは、戦時中の捕虜収容所の実態を把握することができない。そこで、試みに、新潟市に置かれていた捕虜収容所の調査を実施した。捕虜の手記や関係資料などが比較的に多く残されているからである。 他方、国立国会図書館、外務省外交史料館、防衛研究所図書室などの所蔵資料をも閲覧して、「日赤戦中文書」との照合を試みた。その結果、「日赤戦中文書」は、大別すると、「官公庁や国際機関との連絡」、「救恤品支給」、「収容所視察」、「赤十字通信」に整理できそうである。 次に、時系列的に整理していくと、「日赤戦中文書」には空白部分が多い。赤十字活動の国際的つながりに着目するならば、在ジュネーブの赤十字国際委員会(以下、ICRC)附属文書館が保管する極東関係資料を精査することで、この空白部を補完することができるのではなかろうか。このような観点から、平成19年2月に現地へ行き、太平洋戦争中の対日関係文書を調査した。関連する文書の量が膨大であったため、今回は開戦から1942年末までの文書を閲覧し得たに止まる。しかし、当時のICRC駐日代表たりしパラヴィチーニ博士による報告書および電報綴りなど、「日赤戦中文書」と符合しまたはこれを補完する内容の資料を多数発見した。 今後は、「日赤戦中文書」の整理分析を更に進めるとともに、ICRCが所蔵する対日関係文書の調査をも継続し、これらの文書の照合により、太平洋戦争中の日本国内における捕虜処遇の実態を明らかにしてゆきたい。
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