2007 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋戦争中の日本国内における欧米人捕虜の処遇に関する日本赤十字社文書の研究
Project/Area Number |
18530015
|
Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
大川 四郎 Aichi University, 法学部, 准教授 (70185205)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 順一 尚美学園大学, 総合政策学部, 教授 (90259359)
原 禎嗣 山梨学院大学, 法学部, 准教授 (80257493)
|
Keywords | 基礎法学 / 国際人道法史 / 国際法学 / 日本史 / 政治学 |
Research Abstract |
私たちは、昨年度の調査結果に基づき、太平洋戦争中の日本赤十字社文書(以下、「日赤戦中文書」)を、「官公庁や国際機関との連絡」、「救恤品支給」、「収容所視察」、「赤十字通信」に大別整理し、分析を試みた。 第1に、「官公庁や国際機関との連絡」では、日本赤十字社が諸官庁(内務省、外務省、陸海軍省)の指導監督を受ける一方、赤十字国際委員会(以下、ICRC)駐日代表部を介してICRCと連携活動していたことがわかる。 第2に、「救恤品支給」では、交換船により搬出されてきた赤十字救恤物資を、ICRC駐日代表らが日本赤十字社と協力して、各捕虜収容所への配送に従事したことがわかる。だが、名宛人たりし捕虜へ最終的に届いたか否かはわからない。 第3に、「収容所視察」では、ICRC駐日代表が事前に用意した質問表、日本赤十字社が用意した旅程表、事後にICRC駐日代表がジュネーブに打電した報告電報写し、等が残されている。第1次世界大戦時のような包括的視察報告書は作成されていない。これは、往時と異なり、日本側の対応が後退し、駐日代表の業務が著しく拡大していたためであろう。 第4に、「赤十字通信」では、開戦直後の書類が比較的系統的に保存されている。ただ、戦時中に「赤十字通信」の配送が滞っていた実態の理由は、これらの書類から直ちにはわからない。 「日赤戦中文書」は、上記の第2から第4の事業に、ICRC駐日代表パラヴィチーニ博士が深く関わっていたことを示している。今後、博士の評伝をまとめることにより、戦前・戦中の捕虜救恤体制の実像が明らかになるであろう。 また、平成19年9月にも、在ジュネーブICRC附属文書館で太平洋戦争中の対日関係文書を継続調査した。今回は1942年末から1944年7月までの文書を閲覧し得た。そこで、本研究では、1944年7月頃までに対象期間を限定し、報告書をまとめることにする。
|
Research Products
(1 results)