2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小早川 光郎 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00009820)
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Keywords | 行政訴訟形態の多様化 / 義務付け訴訟 / 原告適格 / 処分性 / 国賠責任 / 行政事務の民間委任 / 行政不服審査 |
Research Abstract |
2004年行政事件訴訟法改正に関して理論的・実際的側面から検証を加え、今後における制度と運用の改善に資するという目的のもとに、研究を遂行し、おおむね以下の成果を得た(なお、研究代表者の健康上の理由により、平成20年度について計画を変更し、期間を延長した)。 第1に、この改革により何がどのように変わったかを、裁判実務の動きに注目しつつ検討した。たとえば、(1)行政訴訟の訴訟形態が多様化したなかでとりわけ義務付け訴訟の活用が顕著であることや、(2)原告適格に関する法改正は期待された効果を十分に上げているとは言えないのに対し、法改正がなかった処分性(抗告訴訟の対象となる処分の範囲)の問題に関しては裁判実務が独自に要件緩和の方向に進みつつあることなどにつき、分析を加えた。これらの分析結果については、韓国で開催された研究者・実務家のシンポジウムでも報告し、意見交換を行った。 第2に、行政救済の主要な手段である、抗告訴訟(特に行政処分取消訴訟)と国賠責任という2つの制度のあいだで競合ないし調整が問題となる場合について検討し、一定の成果を得た。 第3に、行政事象の多様化が行政訴訟制度に対し根本的な課題を投げかけている場面の一つである、行政事務の民間委任に関する検討を行った。 第4に、行政訴訟制度のあり方を考えるには、行政手続法制および行政不服審査法制をも視野に入れ、行政機関と裁判所の適切な役割分担という観点で一体的に考察する必要があることから、行政訴訟の種類の多様化に対応する不服審査手続の多様化などの、行政不服審査制度の今後の方向について検討し、論点を整理した。
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Research Products
(5 results)