2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 正直 Osaka University, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (70190890)
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Keywords | 国際法学 / 人権 / 人権条約 / 出入国管理 / 外国人の地位 |
Research Abstract |
19年度の研究実施計画に従い、文献調査を中心として研究課題の検討を進めた。具体的には、(1)条約機関の先例の収集と分析、(2)日本の裁判例の収集と分析及び(3)若干の諸外国の動向の把握及び関係文献の収集、である。 【文献調査】(1)については、まず、条約機関の先例として、欧州人権裁判所、規約人権委員会及び拷問禁止委員会の判決及び「見解」などを収集し終えた。(2)についても、公式判例集及び公刊されている判例誌に掲載されている裁判例、並びにインターネット(最高裁ホームページなど)から収集可能な裁判例の収集を終え、また、弁護士ら実務家から若干の判例集未登載の裁判例を得た。さらに、カナダ及びオーストラリアを中心に、主として両国の関係ホームページから裁判例・決定例などの収集を行ったほか、国連の「国際法委員会」における議題「外国人の追放」関係の資料も入手した。 これらの資料については、その内容を検討し、入国、在留及び強制的出国(犯罪人引渡し及び退去強制)の3場面に分けて整理し、その内容の把握及び分析を行った。 【現地調査】課題の検討の進展とともに、各国の出入国管理行政が、「9.11」以降の「テロ対策」との関係で一定の影響を受けていることから、アメリカの出入国管理行政の一端を解明するため、米国に赴き、関係する研究者と意見交換を行った。 【成果】今年度の研究成果の一部は「11」に記載した論文及び図書として公表した。特に、2008年3月刊行予定の高阪章編『国際公共政策学入門』第2章では、家族・私生活の保護及び拷問などの迫害からの保護の観点からする外国人の追放制限の問題を論じた。その視点は、人権条約の履行監視機関の条約解釈と日本の実務及び裁判例との整合性如何というものであり、本研究の検討課題そのものである。本書は学部レヴェルの教科書ではあるが、その内容は、追放の場面における人権条約の統制に関する全体像を示したものである。なお、より専門的な研究成果は現在とりまとめ中であり、今年5月の成果報告書でその一端を公表する予定である。
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Research Products
(2 results)