2007 Fiscal Year Annual Research Report
企業の社会的責任と国際法-行動要項:国際労働法の新しい法源
Project/Area Number |
18530035
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吾郷 眞一 Kyushu University, 大学院・法学研究院, 教授 (50114202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 正治 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (60143731)
野田 進 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (90144419)
中窪 裕也 一橋大学, 大学院・国際企業戦略科, 教授 (90134436)
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Keywords | 企業の社会的責任 / 国際法の法源 / OECD多国籍企業ガイドライン / コンプライアンス / ソフトロー / 国際労働法 / ILO |
Research Abstract |
初年度に行った問題状況の把握と分析方法及び対象の特定、その結果としての「企業の社会的責任」に関する基礎的概念規定の暫定的完成を受けて、学会・研究会(具体的には19年4月にシンガポールで行われた第1回アジア国際法学会設立大会を初めとする一連の学会)での意見交換、情報収集、企業等などでの聞き取り調査に重点をおいた研究を継続した。8月に刊行した啓蒙書(講談社新書「労働CSR入門」)の効果として、企業、労働組合、ジャーナリスト、国会議員に問題意識が生まれたことを利用し、それらのグループとの交流を通してCSR概念の実態を探った。具体的には10月にトヨタ自動車のCSR関連部署の代表と話し合いをしたり、11月に民主党のシンクタンク主催のセミナーで労働CSR概念の説明を行ったりして、そこで出された質問に答える中でCSR概念の明確化を図った。一方、研究分担者として参画した基盤研究B「国際公共利益の制度化と複雑化する執行過程の統合に関する研究」(研究代表者・小森光夫)では企業の社会的責任(CSR)が国際法執行過程においてどのように位置づけられるかを研究し、直接的執行と立法作用の両方が混在していることを解明した。ニューヨーク大学で研究が進んでいる新国際行政法概念にも共鳴する理論的帰結であることを提示することができた。 労働CSR概念は、国際公法及び労働法体系の中で興味深い位置づけがなされる可能性があり、そのことが本研究の目的の中心部分ではあるが、一方できわめて現実的、実践的な意味を持つことが、時折行う対外的研究発表の社会的反響から見て取ることができた。平成20年最終年度においては、その社会的反響を取り込み、実務との協力を強化しつつ、理論的分析をさらに進め、研究成果をあげることを目指す。
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Research Products
(9 results)