2008 Fiscal Year Annual Research Report
企業の社会的責任と国際法-行動要項:国際労働法の新しい法源
Project/Area Number |
18530035
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吾郷 眞一 Kyushu University, 大学院・法学研究院, 教授 (50114202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳原 正治 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (60143731)
野田 進 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (90144419)
中窪 裕也 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 教授 (90134436)
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Keywords | 企業の社会的責任 / 国際法の法源 / OECD多国籍企業ガイドライン / コンプライアンス / ソフトロー / 国際労働法 / ILO |
Research Abstract |
過去2年の研究の結果として、CSR概念に「個人が人としてもっている権利・義務があるように、企業が法主体として持っている権利・義務のうち、社会に対して履行が要求されている義務を、企業が自発的に履行・推進することを対外的に発表し、実施するもの」という暫定的定義を与え、その認識の上で本研究の問題提起「企業の社会的責任は国際法法源論にどういう影響を与えるか」に答えるべく、最終年度の総括的研究を行った。研究分担者として参画した基盤研究B「国際法における立憲主義と機能主義」(研究代表者・最上敏樹)においても、企業の社会的責任が機能的国際組織(ILO)の国際立法活動においてどのように位置づけられ、ハードローとしての国際労働基準にどのような影響を与えているかを分析した。他方、前年度に公刊した啓蒙書(講談社新書「労働CSR入門」)の実務界での反響が続き、企業経営に助言を与える業務(監査法人、社会保険労務士)の中に取りこまれる余地のあることがわかり、引き続き実務界との接触の中から法源性を解明していった。ILO本部における聞き取り調査の結果、実定国際法であるILO条約などの国際労働基準が労働CSRの台頭によってその地位が脅かされつつあると同時に、利用の仕方如何では逆に強力な補強手段になることがわかった。おおざっぱに言うならば、CSR、特にそのうちの労働に着目したCSRは、法ではないものの法の欠缺を補い、法解釈の助けとなり、立法過程に一定の役割を果たすことが明らかになった。
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Research Products
(9 results)