2008 Fiscal Year Annual Research Report
国際裁判管轄の合意に関するハーグ条約とその作成経緯に関する研究
Project/Area Number |
18530037
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
道垣内 正人 Waseda University, 大学院・法務研究科, 教授 (70114577)
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Keywords | 裁判管轄 / 管轄合意 / ハーグ国際私法会議 / 国際民事手続法 / 国際商事仲裁 / 仲裁合意 / 仲裁条項 |
Research Abstract |
本年度は、ハーグ合意管轄条約についての研究の総まとめの一環として、同条約についてハートレイ教授と筆者が共同執筆した報告書を翻訳した。そして、この論攷に加え、昨年度末に本研究の成果として刊行された「ハーグ国際私法会議における国際裁判管轄及び外国判決承認執行条約作成の試み一その総括的検討一」早稲田法学83巻3号(2008年)及び過去に翻訳した同条約の前身の1999年案についてのナイ教授・ポカール教授の報告書等をあわせて、改めて全体としての見直しをしたものを「ハーグ国際裁判管轄条約』(商事法務)と題する書籍として刊行した。 他方、9月24日には香港で開催されたハーグ国際私法会議第3回アジア太平洋地域シンポジウムにおいて、"The Gist of the Hague Choice of Court Convention"と題する報告と"Application of the1965Service Convention in Japan"と題する報告を行った。そして、各国から集まっていた法律家とこれらの問題について議論をすることができた。しかし他方、予定していた国際商事仲裁における仲裁付託適格性に関する調査研究のためのヨーロッパ出張は大学の日程との関係で実施することができなかった。 それでも本年度の内外の資料分析や関係者と交流を通じて、ハーグでの国際裁判管轄条約作成プロジェクトが明らかにした大陸法系諸国とコモンロー系諸国との考えの違いとその原因についての研究を進めることができ、振り返って日本法についての理解も深めることができた。そして、筆者が委員として参画している日本の国際裁判管轄立法のための法制審議会国際裁判管轄法制部会での議論に本研究の成果の一部を生かし、あるべき国際裁判管轄ルールに向けて貢献することができたと考えている。
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