2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530056
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 友敬 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80209064)
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Keywords | 物品運送 / 国際物流 / 運送責任 / 国連国際商取引法委員会 / UNCITRAL / 法の経済分析 / 法と経済学 |
Research Abstract |
近時の海上物品運送においては,伝統的な定期船/傭船契約の二分論では語れない多様な運送契約形態(北米サービスコントラクト等)が増えてきている.そこでは,一定期間・一定数量の物品輸送へのコミットメントがあるために荷主の力が相対的に強くなり,荷主は必ずしも強行法的保護を必要としない.最新の国連海上物品運送条約(ロッテルダム・ルールズ)における数量契約についての契約の自由の導入はこういう観点から説明できるが,その要件については検討が必要となる. 関連して「法と経済学」の観点から,運送法の強行法規性及び当事者間のリスク配分について検討すると,伝統的な海上物品運送法制では,必ずしも望ましいリスク配分になっていない面が少なくないことが分かった.なおわが国の国際物品運送法には条約と内容が異なる疑いのある事項が少なくないことも,当該研究の副産物として分かった. 物品運送にかかる電子化に関しては,稼働を開始した電子船荷証券(BOLERO システム)については,関連するインフラ(税関で必要な情報等の電子的提供システム)の整備が遅れていることもさることながら,物権的効力等についての法律関係の不安定さの解消が必要となることがわかった. 以上について,万国海法会第39回国際大会(アテネ)のコンファレンスでの報告・司会を行うとともに,国内においても新しい国連海上物品運送条約に関する分析・紹介活動を行い,雑誌論文の形で論稿を発表した(「研究発表」の項目参照).また海外の雑誌にも論文を投稿しており公表を待つ段階となっている.
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