2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
仙石 学 西南学院大学, 法学部, 教授 (30289508)
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Keywords | 比較政治学 / 環境政策 / 年金制度 / 欧州化 / ポーランド:チェコ:ハンガリー:スロヴァキア |
Research Abstract |
本研究は中東欧諸国、特に2004年に新たにEUに加盟したチェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキアを主たる対象として、これらの諸国のEU加盟前後における政策、およびその背景となる政治制度、並びに政党政治の変化について、社会政策(社会保障・社会扶助政策、地域政策)と環境政策を事例として分析することを目的とする3年間のプロジェクトで、2006年はその初年度にあたる。この期間においてはまず、以前から調査・研究を進めていたポーランド、チェコ、ハンガリー、およびスロヴァキアの4カ国のEU加盟前後の環境関連の制度・政策の変化についてこれを「欧州化(Europeanization)」の視点から体系的に整理を行い、そこからEU加盟に伴い必然的にEUの各種の指令を国内法に取り込む必要があるという点で欧州からの圧力は各国の政策を変化させる「触媒」として作用しているものの、そのことは必ずしも各国の環境政策の枠組みの収歛をもたらしてはいないこと、特にポーランドのように体制転換以前からアメリカ型の環境規制の枠組みをあらかじめ導入していた国と、チェコのように体制転換後にドイツ側の環境規制の枠組みを新たに導入した国とでは、その相違がEU加盟後も引き続き存在していることを明らかにした。また並行してこの時期には、社会保障の枠組みの転換の事例として、上の4カ国にスロヴェニア、ルーマニア、ブルガリアを加えた7カ国の年金制度改革についての検討を行い、こちらでは各国ごとの年金制度に相違が生じている理由として労働組合の政策指向、および労働組合の製作過程への影響力の相違が影響している可能性が高いことを明らかにした。このように初年度においては、EU加盟という共通の外的条件の存在にもかかわらず、中東欧諸国の社会・環境政策の形成には各国固有の要因が働いている可能性が高いことを明らかにすることができた。
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