2006 Fiscal Year Annual Research Report
人種問題をめぐる日本と英米の外交関係・英連邦と米国における日系移民問題を中心に
Project/Area Number |
18530117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
松本 佐保 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 助教授 (40326161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣部 泉 北海道大学, 文学研究科, 助教授 (80272475)
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Keywords | 日英同盟 / 日米関係 / 人種問題 / 日系移民 / 英連邦 / 黄禍論 / オーストラリア |
Research Abstract |
研究代表者の松本は、2006年の5月のGWの期間を利用して、オーストラリアのメルボルンの州立図書館や大学図書館では英連邦のオーストラリアにおける日系移民排斥に関するかなりの資料を収集し、キャンベラの国立文書館では、当時の政府の史料、特に日系移民に関する問題についての本国英国政府との間のやり取りを扱った史料を収集した。これら資料・資料をデーター化するにあたって研究分担者の廣部が、東京大学大学院総合文化研究科付属アメリカ太平洋地域研究センターで収集した米国おける日系移民問題を扱った史料と突合せ、研究打ち合わせを何度が行った。松本は同年9月に英国グリニッジで行われた英国国際関係史学会で、The Racial Question and Anglo-Japanese Relationsという題目で研究発表を行い、英連邦であるオースラリアにおける日系移民排斥問題が日英同盟にいかなる影響を及ぼしたかを分析し、有用なコメントを幾つか得た。これらのコメントを受け、また9月に新たに英国の公文書館及び大英図書館で入手した史料を加えると共に、イギリス帝国史研究会の場で鹿児島大学の細川氏から同じ英連邦であるカナダにおける日系移民問題について受けた有用な示唆、これらを併せてThe Yellow Peril-The Racial Question and Anglo-Japanese Relations-と前回のペーパーを加筆・書き直し、2007年3月のロンドン大学歴史学研究所のセミナーで再び研究成果報告を行った。本ペーパーは論文にして発表するのに十分の水準であることを確認し、現在これを投稿論文に仕上げるべく作業中であり、2007年度中には論文としての成果発表となる予定である。また国内では黄禍論研究に詳しい城西国際大学の飯倉氏とアジア人に対する英米の人種観について意見交換の機会も得ることができた。また廣部は論文「アメリカのナショナル・アイデンティティーの危機」で米国における人種問題について論じ、着実に成果をあげている。 本研究課題の一年目はほぼ研究計画通りに研究が進行しており、二年目はこの一年目で築いた基礎を元に、より発展した研究実績をあげることを目指している。
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