2007 Fiscal Year Annual Research Report
産業クラスターの発展とグローバル・リンケージ-台湾と中国のIT産業比較研究
Project/Area Number |
18530194
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Research Institution | The International Centre for the Study of East Asian Development |
Principal Investigator |
岸本 千佳司 The International Centre for the Study of East Asian Development, 研究部, 上級研究員 (70334026)
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Keywords | 産業クラスター / IT産業 / ビジネスモデル / 半導体産業 |
Research Abstract |
H19年度はプロジェクト2年目であり、初年度の準備作業を土台に、台湾と中国で現地調査を実施した。具体的には、台湾(新竹中心)と中国(長江デルタ中心)の半導体関連企業を対象に、アンケート調査(台湾36社、中国34社)と企業への聞取り調査(台湾13社、中国5社)である。 現時点までの分析結果を要約すると、台湾については、1980年代後半のファウンドリ(ウェハプロセス受託製造)ビジネスモデルの発明を画期として台湾特有の水平分業体制が着実に発展し、現在、ICの設計、ファウンドリ、パッケージング、テスティングの各セグメントで世界シェア1、2位を争う産業の一大拠点となっている。本研究では、選択と集中およびコストマネジメント徹底などの台湾企業に特徴的なビジネスモデルの分析を行い、また新竹科学工業園区を中心とするクラスター内部の水平分業パートナーシップおよび海外とのリンケージの展開を見た。そして、ビジネスモデルとクラスターの企業間システムの間に、また地域内部リンケージと外部リンケージの間に連動・共進的関係があり、これが台湾の強さの源泉であることを明らかにした。 中国に関しては、物的・社会的インフラ、関連・支援企業の集積度、インセンティブを与える顧客の存在、などを含めた地域の事業環境が未整備で、国・地域内の産業連関も未発達であり、クラスターとしてのダイナミズムが十分発揮されていないことが判明した。 台湾・中国の比較分析の暫定的結論として、同じく半導体産業とはいえ、地域事業環境の発展度が大きく異なり、その違いに影響を与える要因として、産業の中核セグメント(ウェハプロセス工程)のビジネスモデルと産業連関効果、当該地域にある企業・拠点の戦略的機能の充実度、競争環境の経営改善促進効果、そしてこうした地域内部リンケージの高度化を外部(特に海外との)リンケージで補完し連動させるグローバルな戦略性が指摘された。
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Research Products
(2 results)