2007 Fiscal Year Annual Research Report
会社更生法適用企業の手続終結後の業績の計量的実証分析-再上場企業データの利用-
Project/Area Number |
18530239
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
丸山 宏 Yokohama City University, 国際総合科学研究科, 教授 (30181837)
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Keywords | 倒産処理 / 会社更生法 / 米国連邦倒産法 / M&A / 再上場 |
Research Abstract |
会社更生法による再建手続を終結した企業の終結後の経営業績を計量的に分析し、会社更生手続の効率性および当初の会社更生計画の公平性について検討した。米国連邦倒産法(チャプター11、Ch.11)で再生したはずの197社のうち、40%が営業損失を計上し、さらに32%が再び会社更生手続に入ったことを示した米国の先行研究結果が、本研究遂行の契機であった。 計量的実証分析で、分析期間の前半(1995年-1999年)については、弁済計画期間の平均値は9.80年であったが、更生手続の実際の終結までに要した期間は1.86年であり、計画を大幅に短縮していることが確認された。この傾向は、分析期間の後半(2000年-2004年)になるとさらに強まり、計画期間の平均値は5.03年、実際に要した期間の平均値は0.57年であった。 分析期間中に<開始⇒終結>したサンプルで、再度会社更生手続に入ったことが確認できた事例は、特殊な理由によると考えられる1件だけであった。したがって、米国のように会社更生手続を濫用していると思われるケースは確認できなかった。ただし、前半において主流であった収益弁済型の更生計画の割合が、後半になって急減し、後半は一括弁済型の割合が高まっており、潜在的には実質的な再建が達成されていないケースが増加していることが推測された。 再上場データの利用という点に関しては、会社更生企業の再上場事例が、新聞等で予想されていたようには進まず、1995年以降会社更生・民事再生申し立て、2000年-2007年再上場の条件を満たす件数は4件にとどまり、月次、日次の株価収益率データを利用した統計的検討を行ったものの、事例研究として位置づけることが妥当であろう。このことは、会社更生のスポンサーのエグジット(投資回収)の手段として、再上場よりもM&Aによる売却が圧倒的に選択されていることでもあり、その背景にある制度的問題等の検討が今後の課題として指摘される。
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Research Products
(2 results)