2006 Fiscal Year Annual Research Report
企業行動に対する外部モニタリングの効果と限界に関する実証研究
Project/Area Number |
18530284
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
井上 光太郎 名古屋市立大学, 経済学研究科, 助教授 (90381904)
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Keywords | コーポレートガバナンス / メインバンク / 株式市場 / 経営者規律付け / 敵対的買収 / 株主行動主義 |
Research Abstract |
これまで研究計画に基づき、「メインバンクや企業グループによる監視」と「敵対的買収の可能性」という2種類の経営者の規律付けメカニズムが日本で有効に機能しているのか、もし機能していないとすればその要因は何かを明らかにすることを目的に研究を進めている。 前者の「メインバンクや企業グループによる監視」については、特に企業再生(法的整理や私的整理)において、メインバンクや企業グループが低コストの企業再生を実現するために貢献しているのかに焦点を当てて分析している。その結果、財務破綻企業への支援を行うメインバンクや企業グループに対し、第三者のスポンサーや銀行監督当局などによる外部監視が機能しているケースの方が、企業再生は市場から高い評価を受けることを示した。この結果については、英文論文"Corporate Restructuring in Japan : Who Monitors the Monitor?"にまとめ、平成18年6月に日本ファイナンス学会全国大会、平成18年12月に一橋大学経済研究所ワークショップなどで報告し、現在、複数の海外学会の発表に投稿中である。 後者の「敵対的買収の可能性」に関しては、敵対的買収の経済性のサーベイとケーススタディを行い、成果を著書『M&Aと株価』の1章から3章に掲載した。さらに、敵対的買収の代替メカニズムとして位置づけられるアクティビストファンドの規律付け効果に関して分析を進めた。その結果、アクティビストファンドは資本効率の悪い、市場評価の低い企業を投資ターゲットとして、その投資先企業の市場評価を高めていることを示した。この結果については、論文「アクティビストファンドの功罪」にまとめ、平成19年3月に一橋大学経済研究所研究会で報告し、平成19年6月開催予定の日本ファイナンス学会で報告を行なうことが決定している。 さらに、上記2つの研究を先に進めるものとして、企業再生における経営者交代の役割、TOB(株式公開買い付け)の経済性などの分析に着手している。
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