2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18530346
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
徳賀 芳弘 Kyoto University, 経営学研究科, 教授 (70163970)
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Keywords | 規範的研究 / 実証研究 / 経済的帰結 / 会計基準 / 国際会計基準 / 公正価値 / 実証偏重 / 実証無視 |
Research Abstract |
本研究は、「実証研究」の会計基準設定の貢献について考察したものであり、2007年度の研究によって以下のような知見を追加することができた。2006年度は、研究方法としては、「規範的研究」を「実証研究」に対置させる形で研究を行い、両者の認識論上の一般的な関係と実際の会計基準に対する関係を次のように析出した。両者の認識論上の関係は相互前提的であるが、会計基準との関係で言えば、単純な相互前提的な関係とは言えない。多くの実証成果を無視して規範的な視点のみから会計基準が作成されることも、少数の実証結果を根拠として規範的な整合性を無視した形で会計基準が作成される場合もある。つまり、両者が異なる結論を導くと判断された場合には、一方のみが取りあげられて基準づくりが行われる場合があるということである。2007年度においては、実証研究のつまみ食い現象(都合のよい経験的な結果のみを採用する)について考察を加えた。経験的な事実を重視するという視点が尊重されるようになるにつれて、国際的に会計基準設定をめぐる議論に実証研究の成果が使われるようになってきた。例えば、公正価値会計を巡るG4+1の報告書とヨーロッパ中央銀行の報告書にみられるように、いずれも多数の実証研究を根拠としながら、反対の結論を導き出している。同一の問題に対しても、サンプリングの仕方や分析手法の相違によって実証結果は相違するからである。その結果、実証結果が会計基準の根拠になりうることが周知されてくると、異なる主張に応じて、その根拠となりうる実証結果を探すという逆順の行動が観察されるようになる。
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[Presentation] 負債と資本の区分2007
Author(s)
徳賀芳弘
Organizer
国際会計研究学会24回全国大会
Place of Presentation
青山学院大学
Year and Date
2007-11-25
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より
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