2008 Fiscal Year Annual Research Report
明治期の東北地方における女子ミッション教育の社会史
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18530396
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
片瀬 一男 Tohoku Gakuin University, 教養学部, 教授 (30161061)
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Keywords | 明治期 / 女子教育 / ミッション女学校 |
Research Abstract |
今年度は最終年度を迎え、データの分析と報告書のとりまとめを行った。まず以前から続けてきた弘前女学校の卒論の翻刻、青山学院資料室所蔵の「Missionary Report」ならびに「Annual Report」の翻訳を行った。また、前者についてはAutocodeによるテキスト分析を行った。 報告書としては、文献の検討を中心に1章「東北地方における女子ミッション教育の社会史序説」および2章「明治期の弘前女学校の歴史的概観」(ともに執筆分担:片瀬一男)を執筆した。また卒論の内容分析は、3章「弘前女学校卒論の内容分析」(執筆分担:片瀬一男・相澤出)にまとめた。さらに、一昨年度、実施した卒業生(同窓会役員)への生活史の聴き取り調査をもとに、4章「女学校文化と津軽」(執筆分担:羽渕一代・作道信介)としてまとめた。さらに「補論」として、女子ミッション教育が不在だった鶴岡市、短期間で撤退を余儀なくされた米沢市との比較を通じて、弘前で女子ミッション教育が存続しえた背景を、地域の政治史・経済史・文化史との関連で記述した。 これによって、女子ミッジョン教育が果たした役割、すなわち女性の地位達成と社会移動(地域移動)の促進、文化資本(洋学=西洋的教養)と社会関係資本の獲得、社会参加の機会の提供などにおいて果たした役割の一端を明らかにした。またあわせてミッション女学校が、同窓会活動などによる社会的ネットワークの形成をもとに、地域文化に及ぼした影響についても、重要な知見を得ることができた。
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